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教育の職人のぶさんの、国語教育とカウンセリング(公認心理師)、グループワークとキャリア教育、長年鍛えた職人技をお目にかけます。
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総数50校ほどの大学や短大や専門学校が本校に呼んで、生徒相手に説明会を開催した。例年の行事らしいが、生徒たちは真剣な顔で聞いていた。
今年の3年は、と心配されていたのだが、さすが、自分の進路についてはよく考えているように見えた。大切なことは自分を大切にすること。自暴自棄になってしまっては、何も始まらない。
でも、経済的に厳しい生徒がいるのも現状。いくら勉強を頑張っても、入学金や当初の授業料が払えないで断念せざるをえない生徒も少なくない。なにが、機会の平等だ。
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エリスとの出会いをクリティカルシンキング。
Q1 なぜ、豊太郎はエリスに声をかけたのか?
Q2 なぜ、エリスは教会の前で泣いていたのか?
Q3 なぜ、母の態度が急変したのか?
Q4 なぜ、豊太郎はエリスに金を貸したのか?
この4つの疑問について、4人チームで考えさせた。課題は、4つの答えが矛盾なく結びつくような答えを考えること。
さすが、普通クラスでは話し合いが進行せず、無為な15分間だった。しかし、進学クラスでは、大いに盛り上がった。こっちが用意していたポイントをズバズバ突いていた。頭の差というより意欲の差が如実に表れていた。本質的な「学び合い」が成立する場面手あるが、それを成立させるには、生徒の意欲が必須である。

Q1
本文には「憐憫の情」にかられてとある。
でも、泣いているだけで「憐憫」は起こらない。「憐憫」が起こるのは少女が父の葬式代がないと言ってからだろう。だから、「憐憫」は時間的に考えて成立しない。
ではなぜ声をかけたのか。それは「一目惚れ」である。本文にも、なぜに一顧しただけで自分の心に入り込んできたのかとある。
では、なぜ一目惚れしたのか。それはエリスが超美少女だったこともあるが、豊太郎が自我に目覚めていたこと、地位が危うく精神的に不安定だったこと、古い教会の前で恍惚としていたことが挙げられる。

Q2
問題は、なぜ泣いていたのかではなく、なぜ教会の前なのかである。
教会は困った人を救済する場所であり、しかも、エリスの家の筋向かいに合った。教会の営業時間が過ぎて、門が閉まっていたと考えることもできる。
しかし、豊太郎ですら何度も訪れる人気スポットで、人通りが多い。そんな所で泣いていては目立って仕方がない。しかも、16、7歳の分別のある少女が、いくら悲観にくれるといっても、こんな所では泣かないだろう。
なのになぜ?端的に言えば、声をかけてくれる、助けてくれる人を待っていたのだ。
初対面の、黄色人種で、当時は後進国だった日本人に、「君は善き人なりと見ゆ」なんて言うだろうか。リップサービス、キャッチセールスの常套句ではないか。

Q3
エリスを悪く言うのは、この疑問から。
態度が急変する原因は、エリスとの口論の内容である。金のためには娘でも座頭の愛人にしようとする母親を、短い時間で説得するために、エリスは母に何と言ったか。 ズバリ、「この人が金を貸してくれる」である。しかし、豊太郎は「力を貸す」と言ったが、「金を貸す」とは一言も言っていない。
つまり、エリスは豊太郎から金を借りる目的で、自分の家まで連れてきたのである。

Q4
一つは、父を早くに亡くした豊太郎が、同じく父を亡くしたエリスに同情した。
でも、気になるのは、「人には否とは言わせぬ媚態」である。エリスの魔性の目で見つめられたら、男はノーと言えない小悪魔の目である。
しかも、「この目の働きは知りてするにや、知らぬにや」と言っている。こんな疑問を表現するということ自体、2年後の豊太郎はエリスとの出会いを書いていて、強い疑念にかられてきたのである。

下世話な表現だが、一言で言えば、「エリスにカモられたトヨ」である。
3週間ぶりの授業。無難なプログラムで行くか、チャレンジするか。思い切ってチャレンジしました。名付けて「人と話すわーく」。これは生徒が参加して協力してくれることが前提として成り立つ授業である。

まず、インプロの「ワンワード」と「ワンセンテンス」にバリエーションを加えてウォーミングアップした。好きな1文節ずつ順番に、ランダムに指名して、いつ・誰が・どこで・何を・どうしたのかについての1文節を順番に、ランダムに指名して。さらに、好きな1文を順番に、ランダムに指名して。4つ目のパターンは、サイコロの目で指示された接続詞から始まる1文を順番に、サイコロを振った後ランダムに指名して。こんなワークを30分程したが、よく協力してくれた。

次に、話し手の心得を説明した後、マッピングで話題探しをさせた。全体を4つに分け、話題のジャンルを4つ書く。そのエリアの中で、ウェブ状に連想していく。多く枝分かれしているウェブは横の広がり、長く続くウェブは縦の掘り下げになる。スラスラ書ける生徒と、全く書けない生徒に二分された。

次に、聴き手のスキル、アクティブ・リスニング。「かかわり」技法として、うなずき・あいづち・励まし・繰り返し・言い換えを説明する。そして、まず、うなづき・あいづち・励ましの3スキルだけを使って聴く実習、5つのスキルを使って聴く実習をした。

最後に、聴き手を集めてミッションを指示し、その態度で聴かせる。腕組みをしてふんぞりかえる・落ち着きなく動く・目を合わさない・じっと見つめるの4ミッション。「かかわり行動」としてしてはいけないものばかり。この実習によって、どんな聴き方をされると会話が弾まないのかを体験させる。それから、プリントを配ってまとめの説明をした。

心配していたが、生徒の協力のお蔭でなんとか形がついた。いや、3回目でまだ親しくないのに、ここまでやってくれた。この授業の目的に同調してくれつつある。
次回も頑張ろう。
1週間前は、今日は雨の予報だった。しかし、今日は暑いぐらいの快晴に恵まれた。さすが、晴男である。
行き先は、3年連続の知内浜。琵琶湖の北にある、きれいなキャンプ場である。おばさんとも顔見知りになった。自転車や釣り竿など、タダで貸してもらえる。
往路に平和堂に立ち寄って買い物をするというスタイルも例年通り。飯盒炊さんをする前に、グループでの共同作業である。生徒も喜んでいた。
3年連続だが、毎年違う。当然だろう、生徒が違うのだから。
早いもので1年が立つ。
朝早く、通勤の前に実家を訪れる。
母が亡くなった浴槽に座り、母の気持ちを慮ってみた。
平均寿命まで10年はある。人の寿命を短いとか長いとか言うことはできない。
言えることは、親孝行を、恩返しをするまもなく死んでしまったということである。
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