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教育の職人のぶさんの、国語教育とカウンセリングとグループワークとキャリア教育、長年鍛えた職人技をお目にかけます。
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年末から楽しみながら読み始めていた、山岡壮八の長編小説を、ようやく読了した。達成感と寂寞感がある。大本営の軍部も政治家も、当時の日本の指導者の無能ぶりがよくわかった。それが今の政治と重なってきて空恐ろしくなる。
でも、現地に派遣された反主流派の軍人たちは立派であったように描かれている。そして、無駄死にに等しく死んでいった兵隊たちも、日本のために全身全霊を傾けて戦った。そんな人々を祀った靖国神社を誹謗中傷する族はそれこそ国賊だと強く感じた。
この本はかなり偏っている。右にである。しかし、戦争物の多くは左に偏っているのでちょうどかもしれない。僕には違和感がなかった。ただ、天皇を人格者に描きすぎているのは気になった。
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3連休の最終日、今日も快晴。こんな日はフラフラと出かけたくなるのですが、例によってベランダにビーチパラソルを立てて読書三昧。
有川浩はうまい作家ですね。「阪急電車」というから「電車男」みたいかと思いきや、阪急宝塚線の8駅で乗り合わせた人々の交錯をつむぎ合わせた見事な構成になっている。関西の私鉄で阪急沿線は高級感が漂い、その中でも宝塚線はオシャレである。有川自身が住んでいることもあるが、目の付けどころも良い。電車に乗っていて、行きずりの関係ってあるよね。そこで短い会話を交わしたこともある。そんな会話の連鎖って現実にもある。会話は複数の人の間で起こる。同じ会話をしても、そのそれぞれの人が抱く感想はまちまちで、何気ない会話がその後の行動に何らかの影響を与えることもある。この小説のように人生に関わることはないまでも、そういうこともあるかもしれないという幻想は抱くことは可能だ。そんなふうに人と人がつながっていたら、そういう生活ができたらいいのにと憧れを抱くことも許される。小説だから虚構ではあるが、そうなったら人生楽しいだろうなぁと夢を見させてくれる、さすが有川浩だ。
シルバーウィーク最終日、最後の休日を楽しもうと、読書をした。本は学校の図書館で借りた、有川浩の『フリーター、家を買う。』。表記からわかるように、句読点が売ってある。これは仕掛けである。タイトルも、意外な組み合わせで読者を掴む。計算されている。
この本の中盤を宇治川の畔の喫茶店で読んだ。残り4分の1ぐらいになって、最後のページ数を見た。そして、章の変わり目も。映画を見る時、終演時間から逆算して、その後の展開を予想する。悲劇的な展開ならハッピーエンドに、順調な展開なら悲劇で終わる。本を読む時も同じ。この本は、ここまで順調過ぎるぐらいに進んでいた。前半が悲劇的な展開だっただけに、読者としては思い入れが強くなって、このまま順調に終わってくれたらいいのにと願う。「小説」ならここからがクライマックスで、どんでん返しの事件が起こる。そして、残りページの関係で、最転換してハッピーエンドになるか、そのまま暗闇に突き進むか。前者は安っぽい小説と一般的には評価される。
結論から言えば、この本は小説ではない。就活のマニュアル本である。
新卒で就職した会社の新人研修が宗教染みていることに嫌気がさした主人公は「3箇月」で会社を辞める。「3箇月」というのがマニュアルその1である。同じやめるにしてもせめて6箇月は我慢しなければならない。でなければ、いくら御託を並べても我慢できない奴とレッテルが張られる。主人公もご多分に洩れず、そんな奴だった。再就職の活動はするが、面接試験で辞めた理由を面白可笑しく語る。それが不採用になる元凶だと気づかずに。不仲であったビジネスマンの父親に尋ねると、企業が最も嫌うのが自分の責任を棚に上げて会社の悪口を言う奴。そんな奴は、自社に採用した所で、また不調和を起こし、それを会社の責任に転嫁する。そんな時は、会社側にどんな事情があったにしても、ひたすら自分の我慢が足りなかったこと、それを深く反省していることを伝えなければならない。退職後、無気力な時期があったにしても、それを正直に話し、ようやく目覚めたことを強調する。会社の人事もプロだから、過去の問題の根の深さとそれを補う反省と意欲を冷静に天秤にかける。ここは勝負である。そうした正直な心構えを買ってくれる会社なら働く甲斐もある。それをマイナスにとらえる会社は、入社後も上辺だけの調子のよい社員が出世していくだけで、本気でやる気になっている新入社員の成長はない。
主人公は夜のアルバイトで働いてた土木会社から就職の勧誘を受ける。この会社はブルーカラーで、仮にも大学を卒業した主人公にとっては、格下の就職先である。もう1社、彼の人柄を見込んで内定を出した医療機器関係の堅い会社もあった。主人公が選んだのは、土木会社だった。たしかに給料はいいが、中小企業で安定感がない。大学を卒業した人間が就職する会社ではない。それでも主人公が選んだ理由は、社長の人柄である。この人の元なら主体的に働きたいと思うかどうかである。人生粋に感じるかどうかである。ここが就活マニュアルの2つ目のポイント。
無事就職した主人公は、今度は立場が代わって採用人事の担当になる。社長からの命令は、主人公と同じタイプの人物を採用すること。そこで、自分のフリーター時代の恥ずかしい思い出を教訓にして、採用募集を打ち、採用試験の面接官になる。会社側から見て、どんな人物が必要とされているのか。その点が、就活マニュアルその3である。
というメインストーリーと並行して、母親が近所や家族への心労から、重度の鬱に陥る。そういう妻に無関心だった夫(父親)が段々と目覚めていく。というサイドストーリーがある。それがしっくりしたかどうかわからないが、台無しにはしていなかった。おまけに、不器用な男女の恋愛話にまで紙面が割かれる。
「フリーター、家を買う」と言っても、宝くじが当るわけではない。フリーターが一発ヤマを当てて成り上がるというご都合の良い話でもない。先にも書いた、新採で就職した会社を辞めて、フラフラの時期を経て、再就職して、近所からいじめられて鬱になった母親のために、父親と親子ローンを組んで家を買う。主人公の誠実な性格から、キチンと段階を経て、ようやく住宅ローンが組めるぐらいの収入を得るようになったという、サクセスストーリー。
小説家というのは、虚構者、ストーリーテラーだから、読ませてナンボの世界である。その点ではよくできた作品である。しかし、冒頭にも書いたが、本当の小説ではない。スッキリし過ぎているのだ。人間らしい矛盾やドロドロがない。一言で言えば、人間臭さがない。
それは差し置いて、よくできた話である。先へ先へと読ませる力もある。ストーリーが実によく練られていて、無駄がない。そこが利点であり、同時に欠点である。小説の読者として、矛盾のドロドロが欲しい。それは無い物ねだりだろうか。
いずれにせよ、一気に読ませる力のある作品であることには間違いない。
就活のマニュアル的な本だが、なかなか面白かった。

①「やりたいこと」「できること」「求められていること」の一致した仕事や会社がベストというのは当然のこと。
②ランキング上位の会社を狙うのでなく、「相対エリート」になれと説いている。つまり、鶏口牛後である。実力以上の会社に入ると、出世だけでなくやり甲斐のある仕事にもありつけない。上位3割に入れる会社を選ぶと、力が発揮できる。
③エントリーは「本命2社、押さえ2社、練習1社」に絞り込む。何十社もエントリーするということは、「やりたいこと」が絞れていないから。また、良いエントリーシートを書こうと思えば、5社が適当。
④エントリーシートは合否に大きな影響を与えるので、当たり前のことは書かない。アルバイト、サークル、ボランティアは常套手段なので手段なので陳腐になる。却って勉強をアピールする方が新鮮。
⑤面接官の求める合格者のイメージは、明るく、謙虚で、落ち着いている。野心があり、負けず嫌い。賢い上に努力家である。
⑥入社後は3年かかって一目置かれる存在になる。希望を出すのは3年後。そして、5年間は転職しないと決める。
⑦「働く」とは、「お金を払う立場」から「お金をもらう立場」になること。「お金をもらうこと」は非常に重い。そこをよく分かって就活する者が最後は成功する。
石田衣良の「シューカツ」を読んだ。
就職活動、略して就活、それをカタカナにした安易なタイトル。
石田の小説を読むのは初めてだ。それは、何か違和感、もっと端的に言うなら嫌悪感を感じていたからだ。それは重松清に感じるのと同臭である。
でも、内容が面白そうだから、食わず嫌いではまずいかなと思った。まぁ、ある意味面白かった、一気に読めた。鷲田大学という早稲田大学ミエミエの出身の大学生の就職活動チーム。全員超難関のマスコミ業界を狙っている。インターンシップや先輩訪問、合宿を経て、就職試験へ。幾つかの会社に落ちながら、最後は内定を獲得していく。チームのリーダーは大手新聞社に全部合格したのを断って、海外でボランティア活動をすることに決めたりする。なんて、あま~いお話。要するに、金持ちのボンボン、オジョーサンの就職ゴッコ。就職活動の一端はわかったが、それは超上層部のお話。多くの学生には縁遠いお伽話。
読んでいて、イライラした。
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