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教育の職人のぶさんの、国語教育とカウンセリング(公認心理師)、グループワークとキャリア教育、長年鍛えた職人技をお目にかけます。
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おまけの授業は「『舞姫』ワルモノ探し」。
豊太郎・エリス・相沢・大臣・官長・豊太郎の母・エリスの母・留学生の8人を、悪いと思う順にランキングする。
まず、個人でランキングし、6~7人チームになって、話し合って、チームでの順位を決める。
今年は文系の進学クラスでしか実施できなかったが、毎年恒例になっている。今年も例年通り盛り上がった。本当に唾を飛ばしながらの大論争になっているチームも1つや2つでなかった。
意図は、何を価値観としてランキングするか。様々な見方があるが、正解はない。悪意の人物はなく、状況の中で己の生き方を貫こうとした結果であるということに気づいてもらうこと。最後に、そのことだけは確認する。ただし、僕は「留学生」だけは許さない。今も昔も、こんなクズ野郎が価値を下げるのだ。
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最後まで読解したので、いよいよまとめ。
『舞姫』の豊太郎と現実の鴎外の比較。
まず、妹の小金井喜美子の文章を配布して、エリスが実在したというショッキングな事実を告知する。ただ、現実の鴎外を追って来日したエリスは、発狂もしていないし、妊娠もしていない。しかも、説得されて1箇月であっさり帰国してしまう。また、鴎外の母は健在で、エリス追い返しの陣頭指揮をとる。
次に、豊太郎と鴎外の比較年表を配布して、年号と年齢を確認し、異同をチェックする。留学するまでは似ているが、留学後が大きく違うことに気づく。もっとも、私小説ではないのだから違って当たり前なのだが。
で、問題は『舞姫』の執筆動機と設定。それを追究素するために、帰国後の鴎外を追う。エリスを追い返した後、赤松登志子と婚約する。つまり、鴎外が帰国する前から縁談が決まっていて、エリスの来日は大問題だった。森家を挙げて秘密裏に追い返す必要があった。
無事(?)結婚するのだが、その翌年に『舞姫』を発表する。家族挙げて隠蔽したことを自ら暴露することになる。しかも、よりひどい設定で。その後、長男をもうけるが、直後に離婚してします。理由は、性格の不一致、家柄の違い、登志子の不器量など諸説がある。とすれば、『舞姫』は離婚への布石だったことになる。しかし、そのためだけに『舞姫』を書くか?
さらにその後の鴎外を追う。40歳で18歳年下の「美術品ラシキ妻」と鴎外が評する荒木志げ結婚する。これは余談だが、彼女との間にさらに4人の子どもをもうける。登志子との子どもから順に名前は、於兎(オットー)・茉莉(マリ)・不律(フリッツ)・杏奴(アンヌ)・類(ルイ)。いずれも日本人離れした名前である。そして、大正11年9月7日に没する。遺書には「墓ニハ森林太郎ノホカ一字モホルベカラズ」とある。つまり、「大正十一年九月七日没」と掘るなということだ。なぜか。猪瀬直樹の説によると、「大正」の「正」は、「一」に「止」で短いという意味を表す。そんなことも知らないで決定した日本の学者や政府に絶望していた。この思いは生前から強く、子どもの名前を日本人風にしなかったもの同じ理由ではないかというのは僕の推論。
そして、第十段落の最後の「相沢」への憎しみは、相沢個人ではなく、相沢に代表される日本人の価値観への憎悪ではないかと思う。
ということで、30時間を越える『舞姫』の授業を締めくくる。
第10段落を深める

 豊太郎の家に来た相沢は驚いただろう。そこにエリスがいて看病している。しかも、襁褓の用意まである。これがばれたら、豊太郎の帰国や出世はもちろん、自分の身も危うい。豊太郎と共謀したとは思われないかもしれないが、簡単にだまされるような秘書は首だろう。
 当然、大臣にはエリスのことを隠して時間稼ぎをしながら、今から善後策を打たなければならない。エリスに真実(別れる約束と帰国の承諾)を告げれば、豊太郎が出世するならと身を引いてくれるだろう。本来なら豊太郎が回復後自分から言うべき問題だが、弱い心の豊太郎は無理だろう。だから、俺がやらなきゃ誰がやる?相沢には愛の強さを理解できない。
 エリスは裏切られたショックから発狂する。暴れるが、襁褓を持たせるとおとなしくなったり、豊太郎に薬を上げることばかり気にしている。つまり、エリスの記憶は、裏切られる前の美しい形で永遠に残るのだ。これは幸福なのか不幸なのか。
 豊太郎は生きる屍のエリスを抱きしめて涙を流す。もし、エリスが正気だったら、指一本触れることができないだろう。エリスの発狂は豊太郎にとってはこの上ない結末だった。
 そして、豊太郎は帰国の途に付く。エリスへの愛は残っているだろう。相沢に対しても親友と思う反面、今でも相沢憎む心があると告白する。
 でも、どうして相沢が恨むのか。
 相沢がエリスに真実を伝えたから発狂した?でも、それって自分の仕事だろう。それを肩代わりしてくれたにすぎない。逆恨みである。
 遡るなら、相沢が豊太郎に手紙を寄こして帰国・出世の再チャレンジの機会を作り出したこと自体が、余計なお世話だったということになる。でも、学問がしたい豊太郎が、貧しくても親子水入らずの生活に満足できるだろうか。
 では、なぜ豊太郎が恨んでいるのか。
 もとい、大作家の鴎外がこんなベタな終わらせ方をしているのか。

10.《板》③エリスを残して帰国するについて
 ⑴【L3】豊太郎のエリスに対する気持ちは。
  ・罪悪感。
  ・少し安心している。
   ・発狂したのだから強引に引き止められなくてすむ。
 ⑵【L1】豊太郎の相沢に対する気持ちは。
  ・相沢を憎む心が今日まで残っている。
  【説】これが「人知らぬ恨み」である。
 ⑶【L4】なぜ、豊太郎は相沢を憎んでいるのか。
 ⒜エリスを発狂させたから。
  ・相沢が言わなければ、いずれ豊太郎が言わなければならなかった。
  ・相沢に自分の責任を転嫁していることになる。
 ⒝再び出世の道を開いたから。
  ・エリスが妊娠した時に将来に不安を覚えていた。
  ・エリスとの破局はいずれやって来たはずである。
 ⒞エリスと別れる約束をさせたから。
  ・いずれ、現実に負けて愛は冷めるかもしれない。
  ・結果的には、豊太郎はエリスから直接非難されなくてすむ。
  ・にもかかわらず、責任転嫁である。
11.【指】漫画とハーレクインスロマンス風舞姫を配布する。

舞姫チェック 第10段落

①トヨは、数日間意識不明だった。(数週間)
 ★しかし、数週間も意識不明ほど病気ならかなりの重症になる。夜中の雪の街をさまよっただけで、こんなになるだろうか。その店、映画は3日間だったので、こちらの方がリアリティーがある。
②看病していたのは、エリスの母だった。(エリス)
③その間に、大臣が見舞いに来た。(相沢・様子を見に)
 ★相沢は豊太郎が病気かどうか知らない。
④「余が彼に隠したる顛末」とは、意識不明になっていたことである。(エリスと別れていないこと)
⑤相沢は大臣に、病気のことと、トヨがエリスと別れていないことを報告した。(だけ)
⑥トヨの意識が回復した時、エリスは丸々と太り、精神的に死んでいた。(やせ細り)
⑦「余が相沢に与へし約束」とは、エリスを相沢に譲るという約束である。(エリスと別れる)
⑧「かの夕べ大臣に聞こえ上げし一諾」とは、ロシア同行を承知したことである。(帰国を承諾したこと)
⑨エリスは相沢から真実を聞き、初めてだまされたことに気づいて叫び、寝ている豊太郎につかみかかった。(倒れた)
⑩目を覚ましたエリスは暴れ回ったが、よだれかけを与えると、涙を流して泣いた。(おむつ)
⑪「過激なる心労」とは、流産したことである。(豊太郎に騙されたこと)
⑫エリスの病気は一種の精神病で、回復の見込みはなかった。○
⑬エリスは、ダルドルフの精神病院に入院した。(しなかった)
⑭エリスは、時々「シャブをくれ、シャブをくれ」と言った。(豊太郎に薬をあげなくては)
 ★薬はトヨの薬であり、自分の精神病の薬ではない。ましてや覚醒剤ではない。
⑮病気から回復したトヨは、エリスを抱いて何度も涙を流した。○
⑯トヨは、エリスの母に慰謝料を渡して帰国した。(生活費)
⑰トヨは大臣を恨んでいる。(相沢)
⑱ラストクエスチョン、この時トヨは二十九才である。(二十七才)
 ★22歳で留学して5年間。
第9段落を深める

 案の定、予想通りの理由で大臣から帰国を命じられる。
 豊太郎は「承りはべり」と言って即決する。前の二回の承諾は、友の言であったり、信用している大臣の言であったり、主体的な返事ではなかったが、今回は、相沢の信用を傷つけられないし、この機会を逃せば、帰国も出世もできないし、確信的な返事である。
 当然、帰ってエリスに何と言うか悩みまくる。正直に言えば、エリスは激怒し、なんとしても帰国を邪魔をするだろう。かといって、黙り通せるほど豊太郎は強くないし、エリスの鋭い勘が見逃すはずがない。
 雪の降る中を一晩中歩き回ったおかげで、帰宅と同時に倒れ、一時的であるが説明責任を先延ばしにする
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