忍者ブログ
教育の職人のぶさんの、国語教育とカウンセリング(公認心理師)、グループワークとキャリア教育、長年鍛えた職人技をお目にかけます。
[86]  [87]  [88]  [89]  [90]  [91]  [92]  [93]  [94]  [95]  [96
教育カウンセラー協会の養成講座の2日目、講師は早稲田大学の河村茂雄教授だ。還暦を越えた河村先生の言葉は我が事である。新しいことを学ばないとメタ認知が低下して老化が進む。進むか退くか、止まる=退く、現状維持はない、覚悟を決めなければならない。
午前は保護者対応。マズローの安全欲求や所属欲求が満たされていない保護者は馬鹿にされることに敏感で、言葉尻をとらえる。まずは感情レベルで信頼を獲得する事が大切だ。
午後は今流行りのアクティブラーニング。これからの社会を生きるためのコンピテンシーを獲得するには主体的で対話のある深い学び、アクティブラーニングが必要である。そのためには規律があって親和力がある満足度の高い学習集団が必要との事だ、が、そんな集団はどこにあるのか。
PR
午前中は教育カウンセラー協会の養成講座の1日目の手伝い。講師は元早稲田大学客員教授の加勇田先生。20年ぶりだ。懐かしい。お互いだが、年をとった。
午後は、日本ファシリテーション協会関西支部の8月例会に参加した。テーマは「100年世界 ~世界の未来体感ゲームワーク:三国編~」という壮大なゲーム。4カ月ほど前、試作段階に立ち会ってハラハラしたが、見事に進化していた。日本を中心にした東アジアの世界を、政治家・企業家・労働者に分かれてシュミレートする。政治家は国を守り繁栄させる。企業家は経済を活性化して利益を上げる。労働者は一生懸命働き生活を豊かにする。よくできたゲームだが、複雑化する世界を単純化するのは難しい。しかも、そこに感情が入るとさらに混沌とすることを改めて実感した。
愛犬の勲がみまかった。
それまで16年9カ月、外で飼っていたのだが、2週間前から歩けなくなり、玄関に入れるようになった。10日前から餌が食べられなくなり、水だけで生き長らえていた。毎日、家内と下の世話をした。朝、胸の当たりが動いていて生きているのを見ると安堵した。苦しむ様子もなく、ひたすら息をしていた。その姿は、即身仏になる修行僧のようであった。勲の生命力に任せた。
今朝2時に見たときには胸が動いていたのだが、5時に見ると息絶えていた。よく頑張った。自然と涙がにじみ出てきた。
明日は予定していた霊園が休みなのでやきもきしていたが、勲はすべてを承知していたように息を引き取った。タクシーとは一悶着あったが強引に頼んで無事動物霊園に搬送して、荼毘にふした。
勲は家族の一員だった。3人の子どもと一緒に育ってきた。子どもたちも可愛がった。3人の子どもたちと毎日散歩に行った。散歩の途中で親子の会話ができた。4代目の雑種で、ずっと外で飼っていた。餌もペットフードだけだった。質素に育てた。だから体が強かったのか。思い出せばきりがない。
勲に贈る言葉は、「ありがとう」しかない。安らかに眠れ。
4時間計画の最後の授業。
 今回は、質問づくりではなく、討議をした。
 テーマは、やはり気になる、 像の高さについて。考えられることは3つある。R博士やN博士が測り間違えたというオチはないものとする。

 ア. 二・一四mだったが、二・一七mに成長した。
  ・R博士が測定したときは確かに、二・一四mだった。伸びるはずのない大理石像の身長が伸びたのは不 
  思議で説明できないが、それは「神」のなせる技。R博士を裏切って秘密を反故にして身長を伸ばした。
 イ.初めから二・一七mであった。
  ・R博士が死ぬ間際に精神の錯乱を起こして、ありもしない秘密の話を捏造した。
  ・R博士が測定したときも二・一七mであったが、誤測させた。その段階でアフロディテ像が裏切ったことに
   なる。
 ウ. 二・一四メートルであった。
  ・N博士がアフロディテ像の魅力にとりつかれて、R博士から奪うために嘘をついた。この場合、裏切ったの
   はN博士になる。アフロディテ像の共謀も考えられる。
 エ.その他
  ・生徒からは、R博士の部屋にある像は偽物という説があったが、これもオチ程度の発想になる。発掘者で   権威のR博士が、臨終の床にあるとしても、見抜けないはずはない。

 いつもの4人チームになって、チームの合意で答えを選択し、その理由を書く。また、そうなった場合の主題も考え、A4の用紙に書く。それらを黒板にマグネットで貼る。発表させ、みんなで検討する。

授業を終えて
3年生の最後の授業でした。生徒の反応は上々、よく活動しました。一斉授業なら寝てしまう生徒や板書を写すだけの生徒が多い中で、よく集中してくれたと思います。生徒の感想もそのようなことか書いてありました。
ただ、内容の読解が深まったかどうかはやや?だ。最後の時間に注目してほしかったのは、質問の焦点2「アフロディテ像」の「それがあたかも病床の博士を、冷ややかに見下ろしているように見えるのである」だったのだが、それに触れたチームは2クラスともなかった。
「質問づくり」の授業は、確かに1つの手法としては面白い。ただ、質問をつくったあと、その質問をどうするかが問題である。ルーティンの授業では、その質問について考察を加えていくのは進度の観点から難しい。時間がかかりすぎる。それでなくても、質問の焦点を厳選に厳選を重ねている中で、これ以上時間をかけるわけにはいかない。『たった一つを変えるだけ』に紹介されていた事例とは異なる次元の展開を考えなければならない。
3つ目の質問の焦点。これが問題だ。
以降の展開は次のようになる。

 R博士は、N博士に命じて、他の研究者の著書の、像の高さの部分だけを読ませる。どの著書にも、R博士の著書と同様に2.17mと記されていた。それを聞いてR博士は、「いいしれぬ嘲りと陶酔の表情」をして、「恐ろしい笑い」を笑った。なぜなら、「アフロディテの魅惑の虜」になった博士は、「彼女と個人的な秘密」を分かちたくなり、実際は2.14mだった像の高さを3㎝多く2.17mと公表すたという「自ら好んで犯した過ち」を打ち明ける。他の研究者は、R博士の公表を鵜呑みにしていたことを嘲り、秘密を守り通せたことに陶酔して、恐ろしい笑いを笑ったのである。そして、N博士に命じて、測り方まで指示して像の高さを測らせる。ところが、N博士の答えは「ちょうど二・一七メートルです。」だった。R博士は、蒼ざめて、はや頬が引きつり、錯乱し、怨嗟の目で像を見ながら、「裏切りおったな。」と言って息を引き取る。N博士は、「R博士が真実を語ったとすれば、像はおのずから3㎝だけ育ったのである」から、故しらぬ恐怖に打たれるが、R博士が死を直前にして錯乱して嘘を言ったと解釈して安堵する。そして、異教徒として死んだR博士のために祈った。


さて、どこを質問の焦点にするか。
「恐ろしい笑い」や「嘲りと陶酔」にすると、裏切られるところまで考えが行かない。「個人的な秘密」にしても同様である。
「裏切りおったな」がよさそうに思ったが、像の高さが3㎝伸びたことが前提になる。
そこで考えたのが、「ちょうど、2.17mです」だ。これだと、高さが2.14mである可能性も残しているので、質問のバリエーションは大いに広がる。
実際にここまで考えなければ、「質問づくり」の授業は薄っぺらなものになる。
生徒の考えた質問は次の通り。

番号 レベル 質問
1 R博士とアフロディテ像と以外知らない秘密とは。
2 R博士はアフロディテ像を何mだと思っていたのか。
3 最初に「何mだ」と聞いた時のR博士の心情は。
4 なぜR博士はN博士に2回も測らせたのか。
5 1 二度測っても2.17mと告げられて時のR博士の心情を述べよ。
6 R博士が青ざめて叫んだのはなぜか。
7 R博士の恐ろしい顔を図示せよ。
8 「ちょうど2.17mです」と言った時のN博士の心情を述べよ。
9 Nが恐怖に打たれたのはなぜか。
10 測られている時のアフロディテ像の気持ちは。
11 アフロディテ像を測ったのは誰か。
12 N博士が測定した時点で像の高さは何mだったのか。
13 1 本当に2.17mなのか。
14 像の測り方は同じか。
15 なぜR博士は像の高さを測り間違えたのか。
16 1 R博士はなぜ2.17mであるという嘘をついたのか。
17 4 なぜアフロディテ像は3㎝伸びていたのか。
18 4 アフロディテ像は身長が伸びた、それとももとから。
19 2 なぜ2.17mという中途半端な高さなのか。
20 4 由紀夫は何を伝えたかったか。

当然、本当の高さを問う質問は出る。
R博士の心情だけでなく、N博士の心情まで質問している。
20のようにずばり主題を突いた秀逸な質問も生まれた。
板書は次の通り。

1.R博士の故意の過ち
 ・実際=二・一四メートル
 ・公表=二・一七メートル
 ・像の高さ三センチ多く公表した。
   ↓ 
 ・彼女との秘密
2.嘲りと陶酔
  ・嘲り=多くの学者が自測せず、R博士の著書を引用したから。
  ・陶酔=彼女との秘密が守られたから。
   ↓
  ・恐ろしい笑い
   ・真実を曲げて秘密を守りきった満足
3.N博士が実測する。

 ・「ちょうど二・一七メートルです」
4.R博士の反応
 ・蒼ざめて、頬が引きつる。
 ・錯乱する。
 ・怨嗟の目で見つめる。
 ・「裏切りおったな」
  ・二人の秘密を破った。
5.N博士の反応
 ・故しれぬ恐怖に打たれる。
  ・アフロディテ像が三㎝成長した。
 ・R博士の錯乱のほうが信じやすい。
  ・R博士が妄想を抱いている。
6.R博士の死
 ・異教徒
 ・恐ろしい死に顔




カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カウンター
リンク
プロフィール
HN:
のぶさん
性別:
男性
自己紹介:
高校の国語の教師
上級教育カウンセラー
産業カウンセラー
キャリア・コンサルタント
ブログ内検索
material by:=ポカポカ色=
忍者ブログ [PR]