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教育の職人のぶさんの、国語教育とカウンセリング(公認心理師)、グループワークとキャリア教育、長年鍛えた職人技をお目にかけます。
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「えたいの知れない不吉な塊」。
いきなり、私の内面をさらけ出すという小説。
短編小説なので、読者は、当然これに付き合わざるをえない。
その正体は、その解消法は。
序盤は私の内的世界が書かれてある。
ひどく抽象的だ。
正体は、焦燥と嫌悪と宿酔と、肺尖カタルと神経衰弱と借金が複雑に絡み合ってほどけなくなった毛糸玉のようなもの。
その解消のために、そのころ強くひかれた「みすぼらしくて美しいもの」。
風景なら、崩れかかった街の裏通り。
そこを歩きながら、錯覚の世界で不吉な塊の元凶である京都を脱出しようと試みる。
空間的な現実逃避である。
玩具なら、おはじき。それを舐めてみる。
すると、幸せだった幼児の記憶に包まれる。
時間的な現実逃避である。
以前好きだったのが、丸善。
そこでささやかな贅沢をしている内に、借金がかさんできた。
丸善は嫌悪の対象となる。
そして、後で対決すべきものとして再登場する。

ここまでの授業のパフォーマンス。
まず、崩れかかった街の裏通りの写真を見せる。
今の生徒は裕福になったのか、こんな街を知らない。
次に、花火やおはじきをみせる。
そして、おはじきを口に入れて舐めて見せる。
このパフォーマンスに、いつも生徒は度肝を抜かれる。
ついでに、駄菓子屋で買ってきたお菓子を見せる。
その毒々しい色が、無気力な私の触覚にこびてくる様子を実感させる。
ついで、それを食べても見せる。
丸善は写真を見せる。
今は、カラオケビルに成り下がったので、貴重な写真である。
しかも、建て直す前の白い丸善の写真も見せる。これこそ貴重品だ。
さらに、「檸檬」のころあった丸善の跡地の写真も見せる。
これで丸善は完璧。

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はじめまして
檸檬の模擬授業をすることになり、構成に悩んで検索したところ、たどり着きました。

この授業、灘高校橋本先生の「銀の匙」と似てますね!
教師一歩手前 2011/01/15(Sat)00:18:24 編集
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