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教育の職人のぶさんの、国語教育とカウンセリング(公認心理師)、グループワークとキャリア教育、長年鍛えた職人技をお目にかけます。
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映画の日。「おくりびと」を見た。
アカデミー賞を受賞しただけあっていい映画だった。
去年なくなった母親のことや30余年前になくなった父のことが重なって何度も涙が出てきた。
僕は親を弔っただろうか。

納棺士の仕事は、亡くなった人を生前の最も美しい姿に戻して、旅立ちの餞をする仕事。人間の尊厳を守る仕事。
友だちからも、妻からさえも最初は理解されないが、その仕事を目の当たりにすると、その厳かさに心を打たれる。

主人公が納棺士になったのは、オーケストラの楽団が解散になり、故郷に帰って職を探しているときに見た求人広告「旅のお手伝い」。旅行代理店か何かと思って行ってみると、納棺士の仕事だった。広告は「旅立ちのお手伝い」の誤植。
でも、社長は彼を一目見るなり採用を即決した。他に求人がなかったと言うのもあるだろうが、社長は大事なことは直観で決めるから。後で本人が社長に聞いても「運」としか答えない。
職業なんて事実そうなのかもしれない。なりたい職業についた人もいるだろうが、何となく就くことが多い。
問題は、就いてからどうするか。納棺士の仕事は人からは蔑視の対象になる仕事だし、妻からは「子どもに堂々と言えるのか」と問い詰められ、離婚も迫られる。でも、彼は社長の仕事を見て、自分もやっている内に納棺士の仕事に誇りを持ち始める。
それは、納棺士という仕事と言うより、社長の仕事ぶりだろう。本当に死者を弔う気持ちが社長の仕事にこもっていたからだろう。
つまり、どんな仕事でも、心を込めて人の役に立てば、その仕事が天職になる。
教師と言う仕事は、それが得られやすい仕事である。

もう一つ、「石文」。
言葉のなかった時代、自分の気持ちにふさわしい形の石を交換することで気持ちを交流し合っていた。
彼の父は彼が6歳の時に女を作って蒸発した。
彼は父の顔を覚えていないし、父を激しく憎んでいる。
でも、一度だけ父と交換した石とその記憶だけは覚えている。
最後の場面で、父が死んだと言う知らせを受け、迷った挙げ句に駆けつける。
憎んでいた父であったが、葬儀屋が粗末に扱う様子に耐えきれず、自分で納棺をする。
固く握りしめられていた父の手を開くと、彼が幼い時に交換した石がしっかりと握られていた。
最後の最後に親子の気持ちが通じ合った。
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