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教育の職人のぶさんの、国語教育とカウンセリング(公認心理師)、グループワークとキャリア教育、長年鍛えた職人技をお目にかけます。
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堀公俊『ワークショップデザイン』を参考に。
前回同様、堀氏の著書は多くの示唆を与えてくれる。

ワークショップとアクティブラーニング型授業の共通点は、参加者が主役であること。とはいえ、それをアシストするのは、ファシリテーターであり教師である。
まずは、参加しやすい仕掛け、協働をうながす仕掛け、創造力を解放する仕掛けづくりである。それらをしっかり準備した後で、少し寝かせて、補正し、当日は想定外の出来事を楽しむ。
組み立てとしては、おおまかな流れに基づいて細部を決めるトップダウン型、やりたいことなど細部から全体を組み立てていくボトムアップ型がある。どちらにしても、少し多めの設計をして、勇気をもってバッサリと削り取る。教材研究の10分の1が授業であるといわれることと共通する。
まずは、目的を決める。目的がなければただ楽しいだけ、活動あって学習なしの状態に陥ってしまう。問いの形で立てると具体的になりわかりやすい。
つぎに、メンバーの意欲や能力を考える。それによって、メニューが変わってくる。
授業プログラムの型には、起承転結型、体験学習型、発散収束型、問題解決型、目標探求型、過去未来型、環境適合型などがある。事物の得意な型を作ってみて、少しずつアレンジしたり、組み合わせたりして自分なりの型を作る。
注意すべき落とし穴として、詰め込みすぎない、凝りすぎない、バラバラにならない、コントロールしすぎない、無理強いしない、成果が確認できないなとがある。実施する前に、生徒の気持ちにな
って頭の中でシミュレーション、想像してみることが必要である。
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堀公俊氏の『研修ファシリテーター』より。
この本は、研修会のファシリテーターのあり方について書かれているが、アクティブラーニングとぴったり重なる部分が多い。

ファシリテーターといえば、大きく2つのイメージがある。
一つは、会議やミーティングの進行役。
もう一つは、研修会の講師、進行役。
ファシリテーターのする研修会は、体験型のワークショップが多くなる。ワークショップといっても、体験だけをするのでなく、講義もする。そのファシリテーターの講義の部分が、アクティブラーニング型授業と重なる。

研修会でファシリテーターと似た役割にインストラクターがある。
インストラクターの講義は、いかにコンテンツ(中身)を相手に伝えるかに重点がある。
ファシリテーターの講義は、問題提起や体験の基盤となる理論を手短に伝え、体験の補助や意味づけや確認の役割を果す。

一斉授業型の授業をしている教師をインストラクター、アクティブラーニング型授業をしている教師をファシリテーターに重ねて考えてみると、共通点と相違点が見えてくる。
どちらも、生徒に知識を身につけて、それを活用してもらうことを目的にしている。一斉授業型は即効性ではなく、社会に出た後、長い目で見た活用になる。アクティブラーニング型授業は社会に出る前に、学校の中で模擬的にでも活用を試みる。あるいは、活用しながら知識の定着を図る。
また、どちらも教材研究が最も大切なことは共通している。それをどのように伝えるかを工夫する点にいても共通している。

相違点は、十分に教材研究したコンテンツのアウトプットの仕方にある。
一斉講義型は、多少の問答は含むにしても、一方向で相手に話を聞かせるように話術を磨く必要がある。
アクティブラーニング型授業は、いかに双方向な参加の場を作るかに重点がおかれる。うまく質問を重ねたり、仕掛けをして、メンバー間に対話を生じさせる。
また、伝わる情報量も大きく異なる。一斉授業型で伝わる情報を10とすれば、アクティブラーニング型は多くて3程度だろう。したがって、教える内容を精選する必要がある。
質問にしても、一斉講義型なら、一問一答でつなぐことができる。しかし、アクティブラーニング型はいちいち授業を切ることができないので、何問かを連続で考えさせる必要がある。大問の答えを導く小問をうまく配置することになる。生徒が予想通りに考えてくれるかどうか未知数の部分もある。大問を1つにするのか、多くても3つにするのかも設計する必要がある。これらの配慮を少なくとも同一教材、同一単元では同じパターンで提示しなければ一貫性がなくなる。
こう考えると、一斉講義型では予め見通しは立てるものの、その都度修正はしやすいが、アクティブラーニング型は、十分な準備が必要になる。

アクティブラーニングの展開の仕方として2種類ある。
1つは、何回か一斉講義型の授業をした後に、まとまった時間をとってアクティブラーニングを実施するもの。ディベートとか、調べ学習とか。これを非日常型、イベント型と名付けておこう。
もう1つは、毎回の授業にわずかな時間でもよいので必ずアクティブラーニングを組み込むもの。ペア学習とかグループ学習とか。これを日常型、ルーティン型と名付けておこう。もちろん、何回かルーティン型のアクティブラーニングの授業をした後にイベント型をすることも考えられる。
ほとんどの学校で、すべての先生が、イベント型はされたことかあるだろう。今話題になっているのは、日常的なルーティン型のアクティブラーニングである。毎日、少しでもいいから、一斉講義型の授業を中断して、生徒が主体的能動的に学ぶアクティブラーニングの時間を設けることである。
今週号の『AERA』の特集、「今の勉強ではもう通用しない」。東大合格のトップの超進学校の今後を占う記事である。どの学校でも、一斉授業は姿を消し、アクティブラーニングである。
文部科学省がいうところのアクティブラーニングに必ず付いてくる言葉は、「国際化社会」「知識基盤社会」「高度情報化社会」である。たしかに世界のエリートと互角に渡り合える人材の育成こそ国の急務である。しかし、そのレベルの子どもは全体のどれぐらいいるのだろう。大学進学率が50%強として、その大学の中には「Fランク」と呼ばれる大学が含まれているのだから、「大学生」と呼べるのは40%もいるのだろうか。その上位層5~10%程度か。そして、大学進学できない、しない子どもが50%弱。
これらすべての子どもに、文部科学省のいうところの「上からのアクティブラーニング」が必要なのだろうか。というのが素朴な疑問である。
そんなとき、『協同の学びをつくる』(三恵社)の柴田好章(名古屋大学大学院准教授)氏の文章にであった。氏は、現在の教育が「格差の固定化を前提とした教育」になっていないかと警鐘を鳴らしている。低位に位置づけられた人々は、ストレスの代償としてわずかな金銭を得て、そのわずかな金銭で金を使う側になる。この悪循環を繰り返す。しかも、個として振る舞う。学校教育では、乖離させられた個と個のつながりを強化する以外に、この悪循環を断ち切る方法はない。そこで必要になるのが、協同の学び、アクティブラーニングである。「学校で一つのテーマについて協議し、問題解決した経験が社会に生きる」と言う。「下からのアクティブラーニング」である。
と考えるならば、同書で水野正朗(名古屋市立桜台高等学校)氏が言うように、「教育困難校だから話し合いなどとてもさせられないなどの理由で、知識伝達型の一斉授業が多くを占める高等学校の授業」から脱却しなければならない。
リクルートの『キャリア・ガイダンス』405号に掲載されていた、神奈川県立藤沢清流高校の実践を見てみよう。藤沢清流高校は単位制普通科で718人の学校である。大学進学は55%である。
1年国語総合(古文)では、漢字テストの後、基礎文法について講義、設問をグループで話し合い、解答と理由をホワイトボードに記入して、発表する。グループの全員が説明できることが目的である。説明は以前と変えていないのに、説明がわかりやすくなったという意見がある。
1年コミュニケーション英語では、単語テスト、配布されたプリントをグループで音読、全員起立して音読、内容をグループごとに教え合い、意見をとりまとめて発表する。授業の初めに毎回アクティブラーニングの意義を説明する。
1年現代社会の授業では、経済動向について講義、グループに分かれて「非正規雇用と景気の関係」について話し合い、意見をホワイトボードにまとめる。巡回しながら生徒の理解を確認する。質問を投げかけて会話を弾ませたり、時間を区切る工夫をしている。歴史では事前に知識が必要になるので方法を変える必要がある。
2年古典B(漢文)の授業では、小テスト、ペアやグループで読み方や書き下し文を教え合う。一つ一つの作業をストップウォッチで計っている。
2年数学Ⅱの授業では、板書された問題に対して生徒が自由に発言する。わかった生徒とわからない生徒で席を移動させグループを作り、解答の導き方をホワイトボードにまとめさせる。講義型でも生徒が声を出したり頭を動かす時間が必要。そして生徒の答えはほめる。

生徒の目の輝きが違ったり、意欲が目に見えて上がったり、やる気のない生徒が激減した。しかし、グループワークになじめない生徒もわずかながらいる。先生方も準備のために負担が増える。教員の温度差もある。

けっして学力の高くない学校での3年計画の取り組みである。講義とグループワークの組み合わせを工夫している。どの授業も単に答えを求めるだけでなく、理由や考え方を説明できるように目標設定している。これはかなり高度な目標である。一朝一夕には行かないが、生徒も徐々に慣れてきている。工夫を加えながら継続することの必要性を感じる。
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