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教育の職人のぶさんの、国語教育とカウンセリング(公認心理師)、グループワークとキャリア教育、長年鍛えた職人技をお目にかけます。
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画本を積み上げてその上に檸檬を置く。
これが第一のアイディア。
すべての善いもの美しいものである檸檬が、
えたいの知れない不吉な塊の象徴である画本を吸収して、消滅させる。
これでスッキリ解決。
と思いきや、その檸檬が爆弾になって丸善を爆破するという恐ろしい想像をする。
これらは何なんだ。
この想像は建設的なのか、破壊的なのか。
それは、その後、梶井が「奇体な看板画」で彩られた京極を下ることでわかる。
「奇体な看板画」は、「花火の絵」同様、無気力な私に媚びてくる、みすぼらしくて美しいものだ。
つまり、梶井は、再び、えたいの知れない不吉な塊の中に自ら戻って行ったのではないか。
破壊したのは丸善ではなく、檸檬だったのだ。
梶井を梶井たらしめているもの、それが「えたいの知れない不吉な塊」であって、
これは消えてはいけないものだったのだ。
ちょうど、肺尖カタルの熱を自慢するように。
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3年の国語表現。
今日は、ビジネス敬語のロールプレイのシナリオ作り。
設定は次の通りだ。
 難航している契約のために、部下が部長と一緒に、相手の会社の課長に交渉に行きます。
【相手の会社の受付で】
①受付:あいさつをする。
②部下:名前と要件を伝える。
③受付:アポイントメントの有無をたずねる。
④部下:アポはないが、部長を連れてきたので課長に取り次いでもらうように頼む。
⑤受付:(電話で)課長に要件を伝える。
【応接室で】
⑥部下:会ってもらった礼と、部長を紹介する。
⑦部長:あいさつをする。
⑧課長:(部長に)あいさつをする。
⑨部下:品物を渡し、前回説明した契約の再度の検討を依頼する。
⑩課長:(部下に)断る。
⑪部長:全社を挙げての取り組みであると、社長からも依頼があったことを伝える。
⑫課長:(部長に)上司と相談することを約束する。
⑩部下:礼を言う。
【会社の外で】
⑪部下:部長に礼を言う。
⑫部長:部下をねぎらい、帰りに居酒屋に誘う。
⑬部下:仕事が残っているので断る。
1時間の中で、シナリオを完成して、ロールプレイさせようとしたが、
生徒が熱心に取り組んでくれたので時間がかかった。
途中で打ち切って、できた所まででロールしてもよかったが、
先の失敗を鑑みて、ここは焦らず、次回にロールを回して、
シナリオを完成に時間を費やした。
次回の発表が楽しみである。
2年の現代文の「こころ」も大詰め。
ここらで、恒例のビデオを見た。
10年以上前か、テレビ東京で放映していたもの。
先生は勝村政信、Kは香川照之、お嬢さんは葉月里緒菜、奥さんは佐々木愛。晩年の先生は加藤剛、妻は高橋恵子。
原作のセリフに忠実に描かれているので、教材としてはいいのだが、
問題は、徹底して、「お嬢さん悪女説」で描かれていること。
魔性の女、葉月にピッタリの設定だ。今なら沢尻エリカか。
奥さんとグルになって先生を追い詰めていく様子がこれでもか、これでもかと描かれる。
特に、お嬢さんの意味のない笑いは背筋が凍る。
Kの自殺直後も奥さんが仕切っていて、自分たちのせいでKが自殺したという証拠の隠滅を図る。
極めつけは、原作にない、1年後。
妻と私(青年)が先生の墓参りに行く。
先生の入水自殺した鎌倉の海岸で、
妻が、Kを殺したのも、先生を殺したのも、みんな自分だと懺悔する。
そして、青年が、自分の田舎に来ないかとプロポーズする。
また一人、毒牙にかかる男が……。
なんと、徹底した、恐ろしいストーリーだろうか。
生徒は、笑いながらも、食い入るように見ていた。
「こころ」で『学び合い』も4時間目に入った。
いよいよヤマ場の、私がKの自殺の原因について考える場面。
妻から何のために勉強するのかと質問され、私は最愛の妻にも理解されない淋しさを感じる。
そのことから,Kの自殺の原因は、失恋ではなく、親友だと思っていた私にも理解されなかったから淋しくて死んだと気づく。
上野公園で、お嬢さんを諦めて道に進む覚悟を語ったはずなのに、私にはお嬢さんに告白する覚悟だと誤解されていた。
そのことがわかったのが、奥さんから婚約を聞かされた時。あの時の驚きはこれだったのだ。
それでも何とか生きようとするが、薄志弱行にも、最も楽な解決策である自殺を選んでしまったのである。
ということを、質問によってたどらせていく。
生徒は、教科書を読み返し、ノートを見返してて、考える。
そして、自分の力で謎が解けた喜びを感じる。
3年の現代文の授業。
「いったいわたしはあの檸檬が好きだ」という唐突な告白で始まる。
「いったい」という言葉も強いし、手に持っている檸檬を「あの」というのも面白い。
なぜ檸檬なのか。
に入る前に、心理テストをした。
好きな果物を選ばせて、その果物が好きな人の性格を言う。
たわいもない遊びで、それで性格が分かるはずはない。
でも、血液型よりも自分で選んでいる分、罪がない。
そうして、生徒の興味を引きつけた上で、梶井が檸檬を好きになった理由を授業していく。
複雑な不吉な塊に対抗する「単純な色」。
「丈の詰まった格好」からくる充実感。
肺尖カタルの身に心地よい「冷たさ」と「匂い」。
そして梶井が最も気に入った「重さ」。
なぜ檸檬の重さが「すべての善いもの、すべての美しいもの」なのか。
そこが、梶井の梶井たる所以である。
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